精神障がいとは
精神障がい者を取り巻く環境は改善されつつも、さらなる課題解決が求められています。
精神障がいの定義
心の病気・精神疾患は脳や神経を中心とした器官の病気で、
この病からくる生活のしづらさや生きづらさなどの障がいのこと。
集中力が続かない、疲れやすい、一度に多くの情報を受け止めるのが苦手、不意のことに動揺しやすく、変化に弱い、周囲に敏感、緊張しやすいなどの特性により、時にはコミュニケーションがとりにくく、感情の浮き沈みがあります。いろいろな状況の中で本人の不安や苦悶があるため、行動が混乱しやすく、人々の「恐い、危ない、危険」などの差別観につながっています。
精神障がい者を取り巻く環境
精神病者は、これまで長く「地域で生活することを拒否」された人々でした「精神病院か施設入所されるべき人々」でした。平成5年障害者基本法で初めて法的に障がい者と認められました。平成7年「精神保健福祉法」の下から、福祉の光があてられました(身体は昭和24年、知的は昭和35年でした)。
平成18年「障害者自立支援法(現・総合支援法)」から10年、今、少しずつ精神障がい者福祉が進んでいますが、「長期入院者」や「家に閉じこもっている人々」などの課題はまだ残されたままで、社会的解決が必要とされています。
地域での暮らし
「入院か施設生活」しかできないと言われた精神障がい者の人々が、今「地域生活」ができるようになってきています。精神障がいは、完治が難しいものの、回復(寛解と言います)に向かうことができると言われています。それには「生活」のリハビリがとても大切です。
作業所に通い、人と関わり、興味関心毎に行動する。それらの日中活動にこそ、生活リハビリがあり「地域生活」につながっていく…地域に根差した生活・暮らし方が求められています。
ケース 01
母親と二人暮らし、ここ数年入院はないが最近も入院の導入があった。でもまだ何とか生活できているので、入院をせずに頑張っている。サロンなおみと福祉就労を併用しながら生活の幅が広がっている。
ケース 02
家族と二人暮らし、何度も入院を繰り返してきたがもう数年入院はない。一か月一度の精神科受診をし、服薬もできているが、タバコや買い物など時々外出するもほぼ家に閉じこもったまま。どう社会につなぐかが課題。
ケース 03
親元から離れアパート生活。1か月1回の精神科受診、週一の訪問看護、週一のホームヘルプの利用。就労継続B型事業所の工賃と障害者基礎年金で何とかやりくりして自立生活が実現している。
精神障がいの家族
家族がいつも心にあるのが親亡き後の本人のことです。本人も家族も急な精神の発症で、障がいの受容が難しい状況です。しかし、現実の中で受け入れるようになりながらも、家族が当事者本人に客観的な対応が難しい場合が多のです。それは家族の愛情・思いが強いが故の現実です。しかし、最大の理解者、支援者は家族であり、専門家など多くの方々の支援を受けながら、当事者本人に「よりそい」「ささえあう」家族を目指しています。
ケース 01
男性(48才)19才で発病。入退院を繰り返し18年間ほぼ自宅に閉じこもっていたが、約2年前よりアパート生活を始め、自立に向かって「地域生活」を実現中。
ケース 02
57才の女性。19年間入院したのち共同作業所を利用していたが8年前から福祉就労(B型)に就き、最近A型事業所へ移行。89才になる母親の世話をして安定した生活をおくっている。
ケース 03
息子は入退院を繰り返していたが、ここ十数年はほとんど自宅に引きこもったまま。毎年夏季には「避暑」のリハビリ入退院をしており、「社会」に出るのはあきらめていたが、家族会からの声かけで何とかしようと思うようになっている。